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肝腫瘍局所治療センター

肝腫瘍局所治療センターについて

電磁波の熱で肝腫瘍を焼き切る「焼灼療法」を行う専門治療センターを2021年に開設しました。
この焼灼療法は、開腹せず皮膚の上から針状の電極を刺し行う方法であり、患者の体の負担が少なく、再発しても繰り返し治療できるのが特徴です。
2021年の診療ガイドラインの改定で、腫瘍が三センチ以下、かつ三つ以内なら、外科手術による切除と同等の効果が見込めるとされました。
治療は、事前に撮影したCTの画像などで位置を正確に確認した上で、局所麻酔を打ち皮膚を数ミリ切った後、直径一・八ミリの電極を刺し、十分程度の時間で行います。
この焼灼療法には、ラジオ波焼灼療法とマイクロ波焼灼療法の2種類があります。
(取材記事)「電極針を体に刺す 肝臓がん焼灼療法」令和4年3月15日 中日新聞掲載

治療対象

①肝細胞癌
②転移性肝細胞癌

特色

  • 治療専用のベッドを使用しています。ベッドは、順天堂大学治療診断学のIVOセンター、NTT東日本関東病院で使用しているものと同様の形態です。
  • 新規マイクロ波装置を導入し、2021年12月24日より肝腫瘍治療専用センターを設立しました。ラジオ波装置2機種、マイクロ波機種1機種を保有、FUSION US搭載のエコー機器を使用し、治療を施行しています。
  • 転移性肝腫瘍の治療も施行しています。
  • 腹水ろ過再静注療法にも対応しています。(要相談)

 

ラジオ波焼灼療法(RFA)

当院では、2007年から年間40件前後の治療を行ってきています。ラジオ波の治療の基本は、超音波下で行います。超音波で見えないものは、肝臓外科で、開腹下、腹腔鏡下、胸腔鏡下または、CTガイド下で施行いたします。ラジオ波は、1999年より日本には、本格的に導入され、2004年4月から保険適応となりました。腫瘍の中に電極針を挿入し、電極周囲をラジオ波により誘電加熱し、癌を凝固壊死させる方法です。RFAの針は、当院では、Boston scientific社とMedico Hirata社の製品を使用しています。前者が、展開針の電極針を使用するのに対して、後者は、通常の電極針は、針状であります。当科では、腫瘍の大きさや、部位によって使い分けて治療をしています。


  • Boston scientific社
    (展開針)

  • Medico Hirata社
    (腫瘍の大きさによって、針を変動することが出来ます)

当院での適応

  • 病変が切除不能または患者さんが切除を希望しない
  • 病変が3cm 3個以内
  • 血小板が5万以上
  • プロトロンビン時間50%以上
  • 総ビリルビン値3.0mg/dl以下

現在は、エコー機種の進歩により、超音波装置上にCTやMRIなどの画像を超音波画像とリアルタイムに同期して表示することのできるフュージョン画像システムを用いて、安全で確実な治療も施行できます。

人工胸水貯留

横隔膜直下にある腫瘍は、肺が肝臓近傍にあるので超音波で腫瘍を描出することが困難な場合があります。当院では、超音波で観察し、肋間から腹腔鏡使用時の針を用いて、胸腔内に生理食塩水を貯留することにより、肺を上方に押しのけ、確実に描出し安全に治療できます。

人工胸水貯留

透析患者さんに対するラジオ波焼灼療法

透析をされている患者さんは、術中および術後にも出血のリスクが高いです。 当院は、腎臓・肝臓の専門病院であるため、入院調整もスムーズにできます。 また、慢性腎不全患者さんで、造影CTを使用できない患者さんに対して、造影エコーで腫瘍を確認し、その後治療が可能です。

マイクロ波焼灼療法

マイクロ波アブレーション(以下、MWA)では、同じマイクロ波を使った電子レンジと同様の原理を利用してがん細胞を熱で焼灼します。マイクロ波が水分子を回転させることによって摩擦熱が発生します。過去にも肝臓がんの局所療法の一つとして臨床に用いられていましたが、短い時間で治療が行える一方で、狭い範囲しか焼灼できないというデメリットがあり普及しませんでした。しかし2017年7月に導入された次世代MWAは新しい技術を東海地方では一早く導入しました。

  • 図: Emprint ablation system (Covidient社Webサイトより)

利点

  • 1回の焼灼でラジオ波より大きく焼灼されます。
  • ラジオ波治療に比較して焼灼時間が短縮されます。
  • 従来型のMWA機器や、冷却式電極を用いたRFAでは、焼灼域が楕円形になってしまうことや、
    血流により焼灼範囲が冷やされてしまう冷却効果(heat sink)などから、焼灼範囲を予測するのが
    難しいという欠点がありました。次世代MWAはこの欠点を克服し、完全な球形に近い焼灼範囲が
    得られるようになりました

当院での適応はラジオ波焼灼療法時とほぼ同等ですが、大きな血管近傍や主要臓器からの腫瘍距離が1cm未満であると治療適応外となることもあります。今後2cmをこえる病変の治療はラジオ波から新世代のMWAに移行していく予定です。

(図:卵を使った実験例:当院にて施行)

マイクロ波治療動画

スタッフ紹介

堀田直樹(ほった なおき) 増子記念病院 院長補佐・肝腫瘍局所治療センター長

日本内科学会認定内科医
日本肝臓学会認定専門医・指導医・西部会評議員
日本消化器病学会認定専門医・指導医・東海支部会評議員
日本消化器内視鏡学会認定専門医・指導医・東海支部会評議員
日本消化器がん検診学会認定医(肝胆膵・胃)
日本臨床栄養代謝学会認定医・指導医・代議員
日本病態栄養学会認定医・指導医
日本門脈圧亢進症学会評議員
日本カプセル内視鏡学会認定医・指導医・代議員
ヨーロッパ静脈経腸栄養学会 LLL講師
名古屋大学医学部保健学科 検査技術科 非常勤医師

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●受付開始時間:朝8:00~、夕15:30~  
●外来予約受付:052-451-1541
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