当院の透析治療の特徴
当院は昭和48年に維持透析療法を開始しており、名古屋の透析療法黎明期から患者さんへの良質な血液透析療法を目標に、終始一貫して積極的に取り組んできました。5つの特色ある透析室を備え、計248ベッド(うち、サテライト透析センター(増子クリニック昴)103ベッド)を有し、現在約700名の透析患者さんが通院をしています。また、認定を受けた専門医が多く在籍し、同様に専門認定を受けている多職種スタッフが連携し、チーム医療を実践しています。長時間透析、オーバーナイト透析、在宅血液透析、腹膜透析、ハイブリッド透析といった独自性ある多様な透析療法を実践することにより、長く生き続けられる透析治療を目標としてきました。
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1特徴ある5つの透析室
5つある透析室はそれぞれに特徴があり、患者さんの特性に合わせて運用方法を分けています。個々の透析患者さんの状態、自立度、ライフスタイルに最も適した透析室を選択し、透析治療を行っています。
透析センターの紹介・ゲスト透析について
当院の透析環境について
当院には5つの透析室があります。自立した患者さんには快適な治療環境を、ケアが必要な患者さんにはきめ細かいケアを適切に提供できるよう5つの透析室それぞれに対象患者さんを分けて運用しています。
また、全ての透析ベッドにはテレビが設置され、フリーWifiも完備しています。
各透析室の特徴紹介
第1透析室
ご自身で通院は可能ですが加齢などによりケアが必要になってきた患者さんを対象にしています。朝シフト(9:00~)と昼シフト(14:30~)があります。
第2透析室
ご自身で通院できる自立した患者さんが対象です。透析中・睡眠中のプライバシー確保に配慮し、ベッド間にパーテーションを設置しています。
朝シフト(9:00~)と深夜(21:30~オーバーナイト透析)のシフトがあります。
第3透析室
朝シフトは施設に入所されているなどご自身での通院が困難なケアが必要な患者さんを特に対象としています。他の透析室に比べ手厚い人員配置が特徴です。
朝シフト(9:00~)と夜シフト(16:00~)があります。
夜シフトはお仕事をされているような自立した患者さんが対象です。
病棟透析室
入院している患者さんが対象です。
病棟スタッフステーションと隣接させることで、入院病棟スタッフとの綿密な連携の元での透析治療を可能にしています。
長時間透析室
夜シフト(16:00~)のみ実施しています。
ご自身で通院できる自立した患者さんが対象です。患者さんのプライバシーを確保し快適に透析治療が行えるように、ベッド間にパーテーションが設置されています。
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第1透析室
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第2透析室
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第3透析室
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第2透析室(深夜長時間透析)
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病棟透析室
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長時間透析室
各透析室の開始終了時間について
シフト |
透析時間 |
治療開始時刻 |
最終透析終了時刻* |
朝シフト |
- |
9:00~ |
- |
昼シフト |
- |
14:30~ |
20:40 |
夜シフト |
6時間 |
16:00~ |
22:30 |
4.5時間以上 |
16:30~ |
4時間以下 |
17:00~ |
深夜 |
- |
21:30~ |
7:00 |
※治療実施時間に関わらず透析終了とさせていただきます。
送迎サービスについて
朝シフトのみ一定条件のもとで送迎サービスを行っています。ご希望の方は透析室スタッフまでお問い合わせください。
※ 送迎運行エリア:中村区、中川区の一部、西区(庄内川より南側)、北区の一部
ゲスト透析の受付について
- 増子記念病院 代表TEL (052)451-1307
患者さんの病院名・名前・透析シフト・希望日を透析ベッドコントローラーへお伝えください。
- ゲスト透析希望日1週間前までに透析条件・診療情報提供書(透析経過記録 含む)を
増子記念病院 代表FAX (052)451-1324 へFAX送信してください。
2独自性のある多様な透析療法
オーバーナイト透析、長時間透析といった特色ある多様な透析療法を実践展開し、患者さんのニーズに応えるとともに、より質の高い透析医療を追求し続けています。
長時間透析・オーバーナイト透析の紹介
長時間透析/オーバーナイト透析
一般的に1回4~5時間/週3回行う血液透析について、1回6時間以上/週3回の長時間透析を実践しています。
長時間の透析実施が、より多くの尿毒素や余分な水分の除去を可能とし、合併症の減少や、貧血の改善、栄養状態の改善といった患者さんにとって有益な結果につながるとの報告が数多くされています。
当院では夜間の睡眠時間を利用したオーバーナイト透析で8時間、オーバーナイト透析以外でも6時間の長時間透析を実施できます。
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オーバーナイト透析紹介ページ
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家族と考える慢性腎臓病サイト 腎援隊
~ 長時間透析、オーバーナイト透析、在宅血液透析について ~
3多職種からなる専門スタッフ構成
研鑽を積み上げた多職種専門スタッフが透析治療を担っています。常勤の腎臓専門医が複数名所属し、また、看護師、臨床工学技士、リハビリテーションスタッフ、薬剤師、管理栄養士等、多職種のコメディカルスタッフが専門認定を受け、透析医療を実践しています。
専門認定スタッフの紹介
専門医による診療体制
複数名の腎臓専門医が当院常勤医師として所属しています。
平日の日中は毎日、常勤の腎臓内科医が診療します。良質かつ安全な医療を常に提供できるよう、主治医だけでなく複数の医師が治療に関わる体制を整えています。
また、透析医療に携わるプロフェッショナルとして、各種資格を有する多職種のスタッフが透析治療に携わっています。
透析専門医、透析看護認定看護師、慢性腎臓病療養指導看護師、
腎臓病療養指導士、認定血液浄化臨床工学技士、透析技術認定士、
フットケア指導士、腎臓病薬物療法認定薬剤師、
腎臓リハビリテーション指導士、腎臓病病態栄養専門管理栄養士 等
専門スタッフ養成カリキュラム
当院が独自に、慢性腎臓病領域における専門スタッフの育成を目的とした。
「CKD(慢性腎臓病)エキスパートスタッフ養成講座」(2年課程)を開講しています。
一定の水準以上の技能を認められた限られたスタッフが、修了者として認証を受けています。
4充実した透析サポート体制
多職種スタッフが密な連携を取り、チーム医療を実践しています。
長く続けられる透析医療の実践のため、各診療科による定期検査の実施、診療バックアップ体制といった透析へのサポートを充実させています。
フットケア体制、各診療科による検査・診療体制
フットケア体制
腎不全の患者さんは足病変になりやすく、小さな傷でも足の切断のリスクが高いです。当院ではそのような足病変の予防・早期発見を行い、足の健康を保つことを目的とした「フットケア」に積極的に取り組んでいます。
月1回フットチェックを実施し、適宜動脈硬化検査(ABI/CAVI)、皮膚灌流圧(SPP)を測定し足病変の早期発見に努めています。血流が悪く末梢動脈疾患が認められる場合には経皮的血管形成術(PTA)を施行し治療を行います。
当院には、常勤の血管外科専門医師が在籍しているほか、日本フットケア足病医学会 フットケア指導士3名、日本腎臓リハビリテーション学会腎臓リハビリテーション指導士3名が所属しており、看護師、理学療法士を中心に、臨床検査技師、臨床工学技士、放射線技師等他職種が連携し、ケアの充実に取り組んでいます。
リハビリテーション体制
腎不全の患者さんは、保存期の段階から筋力体力低下に陥りやすく、透析医療においてADLが低下した状況にて透析通院を行っている患者さんが少なくありません。当院では身体機能の評価(SPPB Short Physical Performance Battery)や体組成検査を行い、早期にサルコペニア・フレイルの状況を把握し、リハビリテーションにて二次的な運動機能低下予防を行います。また認知症サポートチームの連携にて、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)から、認知症の程度をみるものまで様々な検査を行い、早期発見から認知症の進行予防リハビリまで集学的ケアを行います。飲む込む力が低下している患者さんに対しては、誤嚥性肺炎の予防を目的に早期から飲み込みの評価を行い飲み込みに適した食事内容の指導も行っています。
各透析室にリハビリスタッフを時間配置し、透析患者のライフスタイルに合わせて、透析前・透析中の時間を有効活用しながら、生活能力が低下しないようにリハビリテーションを行います。
透析シャント管理体制
血管外科専門医が常勤医師として在籍し、透析患者さんにとって命綱ともいえる透析シャントの手術、PTA(カテーテル治療)を行っています。
VAST(バスキュラーアクセスサポートチーム)が、全患者さんに対し、エコーでシャント評価を実施し、シャントトラブルの早期発見に努めています。日曜日以外、毎日、シャント当番医が勤務しており、シャントに問題があれば、手術、連続血管撮影室でのPTA治療が可能な体制となっています。
各診療科による合併症対策
各透析合併症に対しても、当院の複数の診療科で診療対応できる体制を整えています。多くの透析患者さんがかかえる、血管病変、心機能障害、栄養障害、サルコペニア等の合併症について、糖尿病内科、内分泌内科、循環器内科、整形外科、血管外科その他当院が備える複数の診療科により、悪化をさせず、改善を目指す治療を行っています。
各診療科による検査体制
血液検査その他検査を定期的に実施し、透析患者さんの全身状態の把握・管理を行っています。
CTやMRI、心電図・心エコー・腹部エコー・ABI/CAVI・骨密度測定など、各検査を実施し、透析患者さんの全身管理を行うことで、合併症予防に努めるとともに、必要に応じて各診療科医師により診療を行います。
【主な定期検査項目】
〇血液検査 〇胸部X線検査 〇全身骨・骨密度検査 〇胸部CT 〇腹部CT検査・〇腹部エコー検査 〇心臓エコー検査 〇頸動脈エコー 〇CAVI・ABI など
また、当院は入院施設を有しており医師が24時間配備されているため透析中、透析後や帰宅後に体調不良があっても診察・入院が可能です。
5透析治療の実績
50年以上の当院の透析治療の歴史の中で、どこよりも患者を大事にして良い治療成績を残すこと、を目標に研鑽・実績を積み上げ続け、長く生き続けられる透析療法の実現へむけて努力を続けてきました。過去数年にわたり、粗死亡率において全国平均を下回る良好な診療結果を残し続けています。