腎臓病総合医療センターは、当院が腎臓病の専門病院として 「腎疾患のすべての領域」の診療に対応するために組織する、腎臓内科、透析内科・透析外科、腎移植科、泌尿器科、リウマチ・膠原病内科等、関連診療科で構成する大きな診療チームです。
あらゆる腎臓病・腎機能障害の早期診断から積極的治療による治癒、腎保護療法による腎不全への進行阻止、すべての腎代替療法(血液透析や腹膜透析、腎移植など)への対応、全身性合併症への積極的治療まで網羅して行っています。
尿検査異常から腎不全、透析療法、腎移植までを診療内容として網羅しており、早期診断と最適な治療選択を行うことで、「治していく治療、悪化させない治療」を行います。腎生検診断と病態解析に基づく積極的治療を実施することで、多くの腎臓病を治癒・軽快させることが可能です。また、既に進行した高度腎機能障害に対しても、腎保護療法に加え、適正な食事療法により腎臓病の進行・悪化の鈍化が期待できます。
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末期腎不全への腎代替療法として、血液透析、腹膜透析、腎移植までのすべてが実施できる体制をとっています。
当院は昭和48年に維持透析療法を開始しており、名古屋の透析療法黎明期から患者さんへの良質な血液透析療法を目標に、終始一貫して積極的に取り組んできました。4つの特色ある透析室で計145ベッド、サテライト透析センター(増子クリニック昴)では103ベッドを有し、現在約700名の透析患者さんが通院をしています。また、予後改善が期待できる長時間透析、深夜長時間透析(オーバーナイト透析)、在宅血液透析、腹膜透析、ハイブリッド透析と多様な透析療法に対応しています。
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当院は、名古屋市内の医療機関で唯一、深夜長時間透析(オーバーナイト透析)を実施しています。入院施設を有し、夜間でも医師が駆けつけることのできる態勢により実現しています。患者さんは現在60名を超し、国内有数のレベルにあります。
※日本の夜間透析患者率は13%弱ですが、衆済会では25%を超しています(2019年6月現在)
就学や就労で昼間に時間が取りづらく、より良質な透析を希望される方を対象とし、夜10時から翌朝にかけて、睡眠時間を利用し8時間の長時間透析を行います。プライバシーに配慮した仕切りを設けたスペースで、患者さんが安心して眠ることのできる空間を用意しています。
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歴史的には東海地方で第1例目の献腎移植手術が当院で行われました。名古屋第二赤十字病院腎移植科と連携し、直近3年間(2018年度~2020年度)では生体腎移植手術を20件実施しています。また、フォローアップのため外来治療中の腎移植後患者さんは400名を超えます。優れた実績で高い評価を受けている腎移植専門医師が複数名着任し治療にあたっています。
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当センターには10名以上の日本腎臓学会専門医が常勤医師として勤務しています。
また、医師団に加え、腎臓病分野の専門性について認定を受けた看護師や臨床工学技士、薬剤師、理学療法士、管理栄養士など知識豊富なスタッフにより強力なチームが構成されており、チーム医療の視点で協同し総合的ケアを実践しています。
(日本腎臓学会腎臓専門医、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医)
(日本内科学会認定内科医、日本腎臓学会腎臓専門医・認定指導医、日本透析医学会透析専門医・指導医)
(日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、緩和ケア研修会修了、名古屋市立大学医学部臨床教授(前))
(日本腎臓学会腎臓専門医、日本移植学会移植認定医、日本臨床腎移植学会腎移植専門医、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医)
(日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医・指導医、日本臨床腎移植学会腎移植専門医、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、緩和ケア研修会修了)
(日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本加齢医学会専門医)
(日本内科学会認定内科医、日本腎臓学会腎臓専門医)
(日本腎臓学会腎臓専門医、日本内科学会認定内科医、総合内科専門医)
(日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医)
(日本臨床腎移植学会 名誉会員、日本移植学会 特別会員、愛知医科大学 腎疾患・移植免疫学寄附講座前教授)
(日本臨床腎移植学会腎移植認定医、日本移植学会移植認定医、日本外科学会外科専門医)
(日本泌尿器科学会指導医・専門医、日本臨床腎移植学会腎移植認定医、日本移植学会移植認定医)
(日本外科学会外科専門医、日本脈管学会認定脈管専門医、心臓血管外科専門医)
当院では40年以上前から、「患者さんのために」を真剣に考え、良質な医療を担保するために、多職種が参加するチーム医療を実践してきました。腎臓病分野に精通し、それぞれの専門性を備えた看護師、臨床工学技士、リハビリスタッフ(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)、薬剤師、管理栄養士などが医師と協働することで、総合的ケアの実現を可能にしています。
当院では2010年より院内認定資格であるCKD(慢性腎臓病)エキスパートスタッフを設立し、看護師、臨床工学技士を中心とした専門知識を持ったスタッフが、様々な部署に在籍し活躍しています。
外来を中心に、CKD各ステージの患者さんに看護相談を行っており、それぞれの病状に合わせた療養指導、症状の相談や合併症予防の支援を行っています。普段の外来受診ではなかなか聞けないこと、不安や疑問に思うことについて知ることができ、より良い腎臓病の治療を受けられるようにサポートします。また、腎不全となり腎代替療法を考える患者さんに対しては療法選択の支援を行い、患者さんそれぞれのライフスタイルに合わせた治療の選択が行えるようサポートしています。
(日本看護協会認定透析看護認定看護師、日本腎不全看護学会認定慢性腎臓病療養指導看護師、日本腎臓病協会認定腎臓病療養指導士、日本移植学会認定レシピエント移植コーディネーター在籍)
当院のVAST(Vascular Access Support Team)は、全患者さんに対し、エコーでバスキュラーアクセス(シャント)評価を実施し、シャントに問題(閉塞・著しい血流不良・感染)があれば、早期に発見して対応する診療を担っております。
現在のバスキュラーアクセス管理体制は、月曜日から土曜日まで毎日シャント当番医が勤務しており、手術、PTA(経皮血管拡張術)治療が可能な体制となっています。
シャントの問題について、透析室スタッフ(臨床工学技士、看護師)が常時相談に応じ、速やかにシャント担当医師(または透析担当医師)が診断できる体制をとっています。
(透析技術認定士、血液浄化認定臨床工学技士 有資格者在籍)
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糖尿病や透析治療などで長期療養中の患者さんは足先にできた小さな傷が治りにくく、重症化して歩行困難に至るケースがあります。これを未然に防ぐために、当院では医師、理学療法士、看護師で構成されるフットケアサポートチームが定期的なフットチェックを実践し、日常生活指導や傷の早期発見、早期治療を行っています。「足先が冷たい」「怠い感じがする」といった症状が出現した時点から専門知識を持ったスタッフが中心となり、患者さんが自分の足で歩き続けることができるようサポートしています。(日本フットケア学会認定フットケア指導士在籍)
薬剤課では主に入院患者の服薬指導を行っています。特に保存期の患者さんには「なぜ薬ごとに服用方法が決められているのか、腎機能を悪化させる可能性のある市販薬の注意点について、腎臓病が進行すると薬が増える理由」の指導を重点的に行うことで薬の正しい知識を身につけていただき、腎臓の機能を長く保たせるためのサポートをしています。
また腎臓から排泄される薬は投与量の調節が必要になることもあります。投与量が過剰(又は不足)にならないようにチェックし、必要に応じて主治医に提案をしています。(日本腎臓病薬物療法学会認定 腎臓病薬物療法認定薬剤師在籍)
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リハビリテーション課では、腎保存期から長期透析に至るまで、慢性腎臓病の病期・病態に合わせ、適切な評価を基に運動療法・生活指導を行い、より良い療養生活をサポートできる環境を整えております。
血液透析患者さんには、朝8時から(祝日も含む)リハビリセンターを開放し、透析前・透析中と個々のライフスタイルに合わせた、継続しやすい効果的な運動療法を提供しております。当院で透析治療を受けられている約40%血液透析患者さんが運動機能低下・ADL低下予防にリハビリテーションを実施されています。(日本腎臓リハビリテーション学会認定 腎臓リハビリテーション指導士在籍)
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臨床栄養課では、昭和48年(1973年)より「ますわ会(腎不全保存期調理実習)」を行っています。調理実習を通じて、食事療法だけでなく腎不全保存期に対する正しい知識を幅広く提供し、健康的に保存期を長く継続して頂くことを目的としています。他院通院中の患者さまも参加可能です。調理実習では、「エネルギー補給、塩分制限、たんぱく質制限」を3本柱とした食事を一緒に作り、実際の食材やボリューム、味付けを体験して頂くことが特徴となります。
ほか、専門医が教える組み合わせ自在 腎臓病レシピ280を監修し、腎臓病の食事に関する情報を幅広く発信しています。(日本病態栄養学会認定 腎臓病病態栄養専門管理栄養士在籍)
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患者さんが抱える様々な問題について、社会福祉士の国家資格を持つ医療ソーシャルワーカーがサポートを行います。腎疾患の患者さんは、保存期、透析導入時、腎移植、教育入院など、それぞれの段階に応じた制度の把握や利用選択の判断が必要となります。腎臓機能障害による障害者手帳申請(これによる医療費の自己負担の軽減)や障害年金の申請、介護保険や各種福祉サービス等の公的制度の利用、入退院や施設入所の相談、医療費や生活費など経済的問題等、状況に精通し専門的視点を持った医療ソーシャルワーカーが、各職種スタッフと連携を取りながら相談に応じ、患者さんが可能な限り生活面で困ることなく治療を続けられるよう支援します。
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