当科は8時からリハビリテーションセンターを開放し、早朝からリハビリテーションが実施できる体制を整えております。入院患者さんでは、発症・受傷の初期段階より理学療法や作業療法、言語聴覚療法を実施し、日常生活の早期自立を目指したリハビリテーションを行っております。また透析患者さん、入院患者さんや退院支援における様々なカンファレンスに、リハビリスタッフが積極的に参加し、集学的な関わりにて患者支援を行っています。
当院リハビリテーション科では、リハビリスタッフが各学会等の専門資格を取得し、診療の質の向上に努力しております。
外来リハビリは医療保険の算定日数内で実施します。介護保険下の通所リハは実施しておりません。リハビリをご希望の方は主治医にご相談ください。また初診の方は総合診療診察時にご相談ください。
感染対策としてスタッフの体調チェックや機器の消毒、リハビリ時間の調整等を行っております。リハビリ実施の際は、体温測定・入退室時の手洗い等のご協力をお願いいたします。
理学療法部門では、脳卒中後遺症や骨折・関節疾患、心疾患、呼吸器疾患などの他にも、がんリハなど多様なリハビリテーションを行っており、その中でも腎臓病や糖尿病に対する内部障害リハビリテーションに力を入れています。
腎臓リハビリテーションでは、腎不全保存期から血液透析、腹膜透析、腎臓移植前後の患者さんなど様々な病期の患者さんに対応しています。また糖尿病リハビリテーションでは、近年増加の一途をたどっている糖尿病性壊疽による足の切断予防に取り組んでいます。(足病変の予防や状況に合わせたフットウエアの調整を行いっております)
理学療法では、単に体力向上を目的とした運動療法の実施だけではなく、患者さんの心身状態や、生活スタイルにフィットしたプログラムの提供が大切と考えています。
内部障害のリハビリテーションは運動療法のみではなく、薬物療法、食事療法、患者教育などの包括的なリハビリテーションが必要であり、多職種協業でのリハビリテーションの実施を心がけています。
作業療法部門では、入院・外来患者さんを対象として「頭と身体、そして生活のリハビリ」に楽しみを交えながら実施しております。
頭と身体のリハビリとして、脳トレや四季折々の物づくりを提供します。また患者さん同士がコミュニケーションを取りながら楽しくリハビリを行い、活気を取り戻す支援をいたします。
また当院では、認知症や知能(IQ)の検査にも取り組んでおります。認知機能や知能の検査としてHDS-R、MMSE、WAIS-III等を取り入れており、検査結果に基づいたリハビリや退院支援に活用しています。
認知機能の訓練として、コグニバイクという頭の体操と自転車運動を同時に行えるマシーンを取り入れています。
手の指先の痺れの評価は、Semes-Weinstein Monofilament Test(精密知覚検査)を取り入れています。糖尿病や透析患者さんは痺れが出現しやすいとされるため、外来通院・入院問わず適宜評価をさせていただきます。
生活のリハビリでは、日常生活動作の再獲得を目指し歩行や着替え・食事・トイレ・入浴の動作練習を実施すると同時に、専門知識を持ったスタッフが必要に応じた福祉用機器の選定も行っております。
透析患者さんへはライフスタイルに合わせたタイミングでリハビリが行えるよう配慮し、朝の体操を実施しております。朝の透析前という時間を有効活用し、体力の維持、および入院生活で崩してしまいがちな生活リズムを整える手伝いをいたします。
また退院後に、透析通院に送迎バスを利用する患者さんを対象として送迎バスの乗降評価を行います。患者さんご本人やその家族が、より安心で安全な透析通院ができるよう支援いたします。
言語聴覚療法部門では、言語聴覚士がコミュニケーション障害や記憶障害、食べ物が飲み込みこみにくい等の障害のある患者さんに対してリハビリを行っています。
ことばを聞いたり理解すること、話すこと、書くこと、計算などが難しくなる障害(失語症)や記憶障害や注意障害(高次脳機能障害)に対して検査や訓練を行います。
のどや舌・唇を動かす筋肉や神経、声の障害(構音障害)に対して検査や訓練を行います。
また、当院では飲み込みの障害(嚥下障害)に対しての検査も行います。簡易的な検査以外に嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査を行い、より精度の高い検査を行います。検査結果をもとに必要な訓練を行います。
訓練には家族の方に参加して頂くこともあります。ことばの障害ではコミュニケーションを円滑に行えるように補助手段の使用方法を家族の方にも学んで頂く事もあります。また、飲み込みの訓練では食事の調理方法や注意点を覚えて頂く事もあります。
当院は入院患者さん以外に外来患者さんに対してもコミュニケーション障害や高次脳機能障害、嚥下障害のリハビリや検査も行っております。在宅の生活に沿えるよう努めるとともに、より質の高いリハビリテーションを心がけています。
2022年度(2022.4.1~2023.3.31)のリハビリテーション件数は、43900件でした。疾患別リハビリテーションでは運動器疾患が34%であり、脳疾患が25%、がんリハビリテーションが5%でした。また、当院で血液透析治療を受けられている患者さんの30%がリハビリテーションを実施していました。
リハビリテーション効果は、日常生活動作の能力を示す値 FIM (Functional Independence Measure:自分では何もできない状態の18点から自立の126点までを表す)という方法を用いて評価しております。