臨床工学技士とは、1987年5月に制定された「臨床工学技士法」に基づく医学と工学の両面を兼ね備えた国家資格です。
臨床工学技士は、医師の指示の下、生命維持管理装置の操作及び保守点検を行う事を業とする医療機器の専門医療職種です。
臨床工学技士は、医師をはじめ、看護師などと共に医療機器を用いたチーム医療の一員として生命維持をサポートしています。
近年の医療の高度化、専門分化等を背景として、チーム医療の円滑な推進は、より質の高い効率的、かつ、効果的な医療を提供する上で極めて重要な職種です。
昨今の高度な医療技術の進歩に伴い、医療機器の高度化・複雑化が一層進む中、社会は臨床工学技士の更なる活躍を求めています。
医療機器の安全性、適正医療の普及、機器管理体制の確立、医療技術の発展、医療費の抑制などが臨床工学技士の社会的使命とされています。
臨床工学技士は医療機器の専門医療職です。病院内で、医師・看護師や各種の医療技術者とチームを組んで生命維持装置の操作などを担当しています。また、医療機器が何時でも安心して使用できるように保守・点検を行っており、安全性確保と有効性維持に貢献しています。
当院では、おもに「血液浄化業務」、「血管(バスキュラーアクセス)カテーテル治療業務」、「呼吸治療業務」、「ME機器の保守管理」を行っています。また、「手術領域」において平成27年2月より、生体腎移植術において摘出腎灌流業務を始めました。
当院の血液透析室は、第1透析室(55ベッド)、第2透析室(46ベッド)、第3透析室(27ベッド)長時間透析室(16ベッド)病棟透析室(10ベッド)に区分され、合計154ベッドで、各透析室に臨床工学技士を配置しています。
各透析室のコンソール(患者監視装置)は、すべて全自動透析装置であり、なかでも
オンラインHDF治療可能なコンソールが111台設置されています。
透析室での日常業務に加え、水処理装置の保守管理(水質管理)、透析患者さんの検査データ管理を実施し、各患者さんに適した透析治療がされているかの確認や評価も行っています。
また、病室での血液透析をはじめとする各種血液浄化療法(CRRT、PE、DFPP、PMX-DHP、GCAP、KM-CART)にも対応しております。
治療実績 | 2022.1-12 | 2021.1-12 | 2020.1-12 | 2019.1-12 | 2018.1-12 |
病棟透析 | 1021※ | 463※ | 306 | 138 | 303 |
CRRT(持続的腎代替療法) | 41 | 6 | 25 | 31 | 48 |
CART(腹水ろ過濃縮再静注法) | 40 | 76 | 51 | 51 | 54 |
GCAP(顆粒球除去療法) | 35 | 40 | 4 | 4 | 6 |
LDL-Apheresis(LDL吸着) | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
PMX-DHP(エンドトキシン吸着) | 2 | 0 | 0 | 2 | 0 |
PEX(単純血漿交換) | 2 | 2 | 7 | 6 | 1 |
DFPP(二重ろ過血漿交換) | 65 | 63 | 53 | 57 | 45 |
PTA(経皮的血管拡張術 VA・下肢) ※臨床工学技士が携わった治療件数 |
290 | 53 | 196 | 216 | 210 |
※COVID-19による隔離HD含む
狭窄した血管(Vascular Access :VA)をバルーンカテーテルを用いて、拡張(最大圧力:20atm程度)し、修復する手術です。医師、看護師、診療放射線技師とともに治療に携わっています。また、2019年8月からCO2造影を始めました。
PTA前後のVA再循環率、透析中の静脈圧、CL-GAPなどを評価しています。また、今後は、VAを
echoでも評価していきます。
Vascular Accessは、医師、看護師、診療放射線技師、臨床工学技士で構成されたVAST(Vascular Access Support Team)によって主に管理されています。臨床工学課からは、4名がVASTに参加しており、VAechoでVA評価を積極的に行っております。また、穿刺困難な患者さんへは、エコー下穿刺を実施しております。
病棟で使用されている人工呼吸器、除細動器、輸液ポンプ・シリンジポンプなどのME機器の保守管理を行っています。
その他、病院スタッフ向けに医療機器に関する院内勉強会の開催、新規ME機器の臨床評価、院内研修などを行っています。
生体賢移植におけるドナーから摘出した腎臓の灌流液の準備と灌流回路のセッティングを行っています。
また、ABO不適合生体腎移植に対する移植前アフェレーシスを2019年から始めました。
臨床工学技士 | 19名 |
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臨床検査技師 | 1名 |
透析技術認定士 | 14名 |
血液浄化認定臨床工学技士 | 2名 |
3学会合同呼吸療法認定士 | 1名 |
チーム医療の一員として、患者さんに対して、よりよい医療が提供できるよう、日々努力を重ねています。